北海道札幌市で、医療的ケア児・重度心身障がい児の家族が中心となって、どんなに重い障害があっても、子どもたちが、地域の中で安心して生きていける社会づくりを目指して活動されている『NPO法人ソルウェイズ』様。
インスタライブで公開インタビューしたものを、記事にしました。
NPO法人ソルウェイズ設立の経緯・思い
NPO法人ソルウェイズの代表理事 運上佳江さんは、現在13歳と8歳のVici症候群(遺伝子疾患)の重症児、2歳、1歳の4姉妹のママ。
もともと福祉の仕事をしていたわけではなく、娘さんに障害があるとわかってから、医療的ケアに携わり、娘さんの介護をするようになった。
NPO法人設立のきっかけ
現在は、札幌市内にも、重症児が利用できるデイサービスが複数箇所あるが、娘さんが小学校にあがった頃は、重症児が利用できるデイサービスがほぼなかった。
訪問看護でお世話になっていた医療法人のデイサービスは、未就学児のみが対象であり、小学校にあがるタイミングで利用できなくなってしまうという状況。
重度な障害があると、特別支援学校に通うことになり、医療的ケアのある子は母親の付き添いが必須なため、特別支援学校に通う長女に付きっきりになると、次女との時間を作れない。
自分の人生を考えると、薬剤師として働きたい、○○ちゃんママではなく社会に関わる機会がほしい、特別支援学校と家の往復だけの生活で良いのか、と考えるようになり、小学校以降の子ども達を預かれる場所があってほしいなと思って、重症児デイサービスをつくった。
ただ預かってくれればいいというわけではない
重症児は、座ったり立ったりすることができない子も多く、ベッドの上で過ごす時間が長くなってしまう。
天井ばっかり見て過ごす人生であってはならないし、自分たちがそうだったように、親よりも同じ年代のお友達と過ごす時間の方が楽しいような環境が、娘たちにもあったらいいなと思っている。
そして、同じように自宅で重度の障害のある子を介護しているお母さん達と一緒に、安全に子どもを預けられる場所をつくろう!と話し合って、重症児デイサービスをつくった。
医師のいない場で、障害の重い子達をみるということは、スタッフはプレッシャーもあっただろうし、前例がない中での試行錯誤。
障害があるとわかり、育児書にはない育児が突然始まり、スタッフと悩みを共有しながら、少しずつ前に進んできた。
自分一人ではここまでくることはできなかったし、最初の頃は「もうやめたい」「なんてことを始めたんだ」と思ったことも正直ある。
経営者になりきれなくて何度も泣いた。
そんな時に、頑張れと言ってくれたのは長女、お母さんならできると言ってくれたのは次女、そしてデイサービスに来ている子ども達の顔を見ると、「ここを、絶対なくせない」と思って運営してきた。
現在の事業内容
重症児デイサービス ソルキッズ
多機能型重症児者デイサービス モアナ
重症児デイサービス リノキッズ
重症児デイサービス あいキッズ
重症児デイサービス ラナキッズ
訪問看護ステーション あみえる
居宅介護事業所 リマ
今後3年のビジョン
お泊まりができる施設(ショートステイ)や、一人暮らしができる施設(グループホーム)を立ち上げるために、準備を始めている。
一棟建てようとすると準備から開所まで3〜4年の計画になるので、長女が中学二年生になったので、高校卒業に間に合わせたい。
現在重症児デイサービスを利用している子たちも、どんどん成長していくので、生活介護の枠を広げることや、お泊まりできる施設をつくることは、必須であると考えている。
障害児がお泊まりできる施設
「明日、お友達とお泊まりに行こう♪」という気持ちになるような施設にしたい。
学校に通っている子が、現状のショートステイを数日間利用すると、学校を休んでショートステイに滞在することになる。
そうではなく、お泊まりして、学校に送迎して、またお泊まりに来るというような、その子の日常生活を送れるようにしたい。
未就学の子も、ただ天井をみて過ごすのではなく、あそびの時間やリハビリの時間があって、デイサービスのように過ごせるような場所にしたい。
そして、ショートステイの先には、私たちが一人暮らしをしたように、いつかは、重度の障害のある子たちも一人暮らしのような感覚で過ごせる場所があったらいいなと考えている。
また、看取りの場でもあってもいいのかなとも思っている。
自分の子を看取ることを思うと、必ずしもお家がいいというわけではなく、通い慣れた場所で、お友達やスタッフに囲まれてバイバイというのもいいのかなと考えたりもしている。
スタッフの働きやすさ・子育て支援
インクルーシブな保育園や病児保育など、子育て中のスタッフや女性スタッフが働きやすい環境をつくることもしていきたい。
NPO法人あえりあの活動や「さぽんて」に共感した理由
NPO法人あえりあは、様々な分野の方が集まった時に、1+1=2以上のものが生まれるようなイメージができる。
高橋がTwitterに「マルシェをやりたい」とツイートした時にも、きっとこんなことをやりたいんだろうなと、思いを共有しているように思えて、参加した団体やお客さんとのコラボが生まれそうだと感じた。
障害児の親としては、制度だけでは支援が十分ではないので、「さぽんて」のようなインフォーマルサービスを使っていかないと、生活が成り立たないとも思っている。
障害児の親としても事業主としても、「さぽんて」は意義がある
おもしろい取り組みだなと思いつつ、障害児の対応をしたことがある有資格者は多くはないので、来てくれる人と出逢えるのか難しい分野だろうなとも感じた。
障害児の親としては、「さぽんて」のようにちょっと手伝いに来てくれるサービスを使いたいということがある。
障害児の親にはニーズがたくさんあるけれど、マッチしないかもしれないという心配があるのもわかるので、重症児デイサービスにお手伝いに来てもらって、この子達のことを知ってもらって、「関わりたい」と思ってくれる人が増えてくれたらいいなと思う。
そうすることで、障害児の分野の人材が増えていくことにもなり、障害児の親としても、事業主としても、いい影響があるのではないかと期待している。
「さぽんて」をもっと広げていきたい。
先に述べたお泊まりができる施設も、「さぽんて」を活用して有資格者に来てもらって、普段障害児との関わりのない方にも体験してもらいたいと考えている。
介護や福祉の分野では、人員不足・人材確保困難と言われているが、新しい人材確保の形ができるのではと、「さぽんて」の魅力を感じている。
そして、お泊まり施設をつくるにあたってのアイディアや意見を募る会のリクエストも出して、職員も、「さぽんて」で協力してくれる人も、当事者やその親も、一緒につくりたいなと考えている。
「さぽんて」を実際に使ってみて
サポートに来てくれる方は、思いのある方だなと感じる。
障害児への医療的なスキルがあるかという点よりも、前向きで、支援を必要とする人への気持ちが大事。
さぽメン(サポートする有資格メンバー)のプロフィールを見ていると、資格だけのアピールだけではなく、資格以外の趣味や仕事に対しても興味が湧くような方も多い。
サポートをお願いした後も、お付き合いを続けたいなと思う。
医療職の視点からの「さぽんて」
一医療職として登録することをイメージすると、「さぽんて」を活用して、新たなスキルが得られる機会になる、転職しなくても経験したことのない分野にサポートしに行くことでスキルアップができるなと思う。
有償ボランティアだからこと、「やってみたい」にチャレンジできる。
NPO法人あえりあ✖️NPO法人ソルウェイズのコラボイベント
写真展「透明人間」
札幌市の地下歩行空間(札幌駅と大通り駅をつなぐ地下通路)にて、2022年11月12日・13日に開催が決まっている。
障害児の学校付き添いをテーマに取り上げた写真集「透明人間」の写真展。
障害児のお母さんが写真を見たりお話をしたりする間、ICTを使ったあそびゾーンで、障害児やきょうだい児と一緒に過ごしてもらえるスタッフを募集する予定となっている。
学校付き添いの代行や、日常生活でのお手伝いに、「さぽんて」を活用してみたらいいのではと話をしたいなと思っている。
NPO法人ソルウェイズ
ホームページ
https://solways.or.jp/
Facebookページ
重症児デイサービス ソルキッズ
多機能型重症児者デイサービス モアナ
重症児デイサービス リノキッズ
重症児デイサービス あいキッズ
重症児デイサービス ラナキッズ
訪問看護ステーション あみえる