JRで小樽に行こう!小樽駅や観光地のバリアフリー

NPO法人あえりあと、北海道医療的ケア児者家族の会Team Dosancoのコラボ企画「JRで小樽に行こう!」は、2024年7月7日(日)に開催しました。

NPO法人あえりあと、北海道医療的ケア児者家族の会Team Dosancoのコラボ企画では、

  1. 「支援する」「支援してもらう」ではなく、「一緒にあそぶ」ことで、医療職・福祉職・介護職と利用児者・家族という関係性ではなく、個人対個人での対等な交流を行う。
  2. 医療的ケア児者は、外出すること自体にハードルが高くなる場合も多いので、イベント化することで、外出の機会を創出する。
  3. 医療的ケア児者同士、家族同士、きょうだい同士の交流の場となる。
  4. 医療職・福祉職・介護職も、医療的ケア児者と関わったことがない人も多いので、知ってもらう機会となる。
  5. 医療職・福祉職・介護職も家族参加大歓迎としており、子どもたちにとっても、いろんな子・いろんな人がいること、工夫をしながら一緒にあそべることを体感する機会となる。
  6. 外出先のバリアフリー状況をレポート公開することで、「これなら行けそう」「行ってみたい」と次の外出の機会を創出する。

ということを目的として、年数回、不定期に開催しています。
2024.7.23  一緒にチームラボであそぼう
2023.9.24  一緒にAOAO SAPPROに行ってみよう
2024.6.9    エスコンに行こう!

バギーでJRに乗ろう

医療的ケア児者は、自家用車を福祉車両にして移動していることが多く、JRでお出かけする機会がほとんどありません。
「JRで小樽に行きたい」というお声があり、JR小樽駅にはエレベーターがないため、小さめなバギーの子達と一緒に行ってみました!
(第二回目は8月下旬に予定しています。)

JRに乗る

乗りたいJRの時間の15分くらい前までに、窓口にお伝えすると、出発駅と到着駅のスロープ設置を調整してくれて、時間的にも余裕をもてます。

窓口横の横幅の広い改札を通ることができますが、
「わたしも、ピッしたい!」と通常の改札でトライしてみました。
通ることができる横幅であれば、改札を通ることもできます。

車椅子スペースのある車両に、スロープをかけてくれます。

車椅子スペースは、バギー1台ほどの広さしかないため、

人一人がやっと通れるくらいの隙間しかなくなってしまいました。

二台目のバギーや、他にもベビーカーの方もいたため、お互いに場所を調整しつつ、乗り降りする人がいる際には場所を移動して、小樽駅までJRに乗って行きました。

車椅子スペースは、車両によって異なる

事前にどのような車両が来るのかは確認できないようです。

JR小樽駅に到着

到着駅では、スロープを準備して駅員さんが待っていてくれます。

一気に人が降りるため、人が少なくなってから改札口のほうへ移動。

初めてJRに乗った子も、JRがちょっと怖かった子も、小樽駅に着いたよー!

JR小樽駅にはエレベーターがない

どういうことかというと、
板3枚が同じ高さになるエスカレーターが設置されており、バギー、車椅子、ベビーカーでエスカレーターに乗ることができるようになっていました。

前輪と後輪が、110cmの幅におさまるバギーであれば、乗ることができます。
それ以上のものは、エスカレーターに乗ることができないそうです。

また、上の右側の写真のように、バギーが乗った高さ(青いラインのある板)から2段分の高さのある段差が、ちょうどフットレストの位置にあたるため、接触しないようにフットレストの高さを調整、もしくは、エスカレーターに乗る時はティルトで調整するなど、工夫が必要となるバギーもあるかもしれません。

今回の2人は、そのまま乗ることができました!

小樽駅近辺のトイレ

JR小樽駅

とても広くてユニバーサルシートのある多目的トイレがあります。

小樽運河近辺のトイレ

運河などの観光地には、ユニバーサルシートのあるトイレはありませんでした。
新しい施設やお店もありますが、ベビーベッドやオストメイト対応のトイレはあっても、残念ながら、ユニバーサルシートはありませんでした。
(観光案内所にも確認しましたが、小樽駅以外にはユニバーサルシートの情報はないとのことでした。)
※2024年7月7日現在

JR小樽駅から歩ける範囲で観光

小樽駅から小樽運河

小樽駅前は、前向きでも下れるくらいの緩やかなスロープがあります。

運河までは、ゆるやかな下り坂。
そして、石畳の箇所も多く、痰が多い子だと痰があがってきそうなほど振動があります。

小樽国際インフォメーションセンター

2024年3月にOPENした新施設。

スロープ

スロープはあるのですが、道幅が狭くて直角なスロープ
大きなバギーで、このような直角のスロープを曲がるのは、容易ではない場合もあります。

写真奥(スロープ横の階段の奥)に、歩道から建物に向かった緩やかなスロープがあるのですが、ポールが3つあり、バギーや車椅子は通れないようになっていました。
ポールさえなければ、わざわざ難易度の高い直角なスロープを設置しなくてもいいのに、、、という状況でした。
設計する方々にも、スロープを使用する人のことを、もっと知っていただきたいですね。

建物に入る際も、直角に曲がって狭いスロープに入っていかなければいけない設計になっており、大きなバギーだと大変そうなつくりになっていました。
また、地面に敷いてある黒いラバーの上に、砂嚢が2つ乗せてあり、移動させなければ通れませんでした。介助者がいる場合は、砂嚢を移動することができますが、自走する車椅子ユーザーの場合、砂嚢によってスロープへの道を塞がれてしまいます。
スロープは、あれば良いのではなく、スロープを必要とする人が使えるようなスロープになっていなければ、意味がないのです。

トイレ

オストメイトとベビーベッドはありましたが、残念ながら、ユニバーサルシートはありませんでした。

コンテナカフェ

緩やかなスロープがあり、室内は狭いですがバギーでも入ることができました。

入って左右に写真と同じくらいの空間があり、2階にはカウンター席があります。

外出先での注入

お父さんお母さんは、まず、子どもたちのご飯の準備です。

外食先の食事を摂ることは難しいため、ミキサー食や栄養剤を持参します。

半固形ラコールは、「接続部があると、外出先でシリンジに吸う際に便利だよー」と教えてくれました。(医療機関によって、支給の有無に差があります。)

胃残を確認し、内服薬と栄養剤を注入。
※この企画では、医師の指示書をいただいていないため、看護師が同行している場合でも、医療的ケアはすべてご家族が行います。

大人は、ハンバーガーを食べました。

小樽堺町通り

観光客の多い場所ですが、声をかけながら歩くと道をあけてくれました。

ルタオはスロープがあり、ベンチもあるため、休憩にも良い場所ですが、多目的トイレにはユニバーサルシートはなくトイレ内も狭いため、バギーでの尿パット交換やおむつ交換は難しいです。

古民家や倉庫を活用した建物も多いため、入り口に段差のあるお店が多くあります。

今回は人手があるので、バギーを持ち上げてお店に入ることができました。

途中で雨がパラパラと。

バギーを押しながら傘をさすことは難しいので、カッパやポンチョを着ています。
バギー用のカッパも便利ですが、内部が蒸して暑くなるため、夏に使用する場合は暑さ対策も同時に必要です。

そして、映えポイントで集合写真!

今回は、医療的ケア児との接点をもったことのない看護学生や介護福祉士が、参加してくれました。

JR小樽駅へ

運河方面から小樽駅までは、緩やかな坂道が続きます。

JRで帰ろう

話せる券売機

オペレーターと話しつつ、右側の「証明書などを置く台はこちら」に障害者手帳を置き、障害者手帳の割引や介助者の割引の切符を発行してもらうことができます。

JRに乗る

窓口で、乗りたいJRの時間を伝え、到着時と同様にエスカレーターでホームに上がり、スロープでJRに乗り込みます。

行きとは違うタイプの車椅子スペースの車両でした。

バギー2台がギリギリおさまりました。
(またまた通路を狭めてしまう広さでした。人は通れますが、キャリーケースなどがあると通れない幅です。)

行きのJRは、怖くて顔がこわばっていましたが、帰りはニコニコ。

到着駅でも、スロープを準備していただき、スムーズに降りることができました。

駅員さんによっては、スロープの設置のみではなく、バギーの介助を代わろうとする駅員さんもいました。
ご自身で実施したほうが安心な場合は、「自分でやります」とお断りすることも必要だと感じました。

参加者の声

ご家族

JRや小樽観光でのバリアフリー状況

  • 今回、初めてJRへの乗車でした。 関東に比べると、JRとホームの間に段差がある分、スロープの角度が急でした。下車の時は、後ろ向きで降りるので、乗車待ちをしている人との接触が心配です。駅員さんに声掛けや誘導などしてもらえるともっとスムーズに下車できると思いました。
  • 小樽駅のエスカレーターは、エレベーターの代替策としては、とてもいいなと思いました。 JRの車椅子スペースがとても狭くビックリ。 車内の混雑状況によっては乗れない場合もあるなと思いました。
  • 小樽駅のエスカレーターは、他のお客さんの利用がスムーズに出来なくなるので申し訳ない気もしました。駅員が階段を促して、そうする人もいるが、スーツケースがある人は待機していた。エレベーターがあるとより良い
  • どんなにスロープが設置されている場所でも、多目的トイレにユニバーサルシートがない場所がほとんど
  • 道に関しては、振動が好きな子供達には良いが、苦手な子達には少し可哀想だなと思うのと、歩道の縁石はもう少し平らだとありがたいなと思います。 今回は借りられる手があったから良かったが、坂の街だけあり、あれを1人でと考えると、難しいと感じました。

「JRで小樽に行こう!」企画

  • 今回も楽しい企画をありがとうございました!! こんなにバギーを押さないおでかけが、初めてだったのと、娘の楽しそうな顔を間近でみられ私もとても嬉しかったです!! いつもは連れていきたい、やらせたい、色々なことを感じて成長して欲しいで色々な所へ積極的に行く我が家ですが、そこに借りられる手がくわわるといつもと違った角度から楽しめるのでこれからも積極的に参加したいなと思います!! 今回は未来の看護師さんが一緒で今日の経験を今後の実習や看護師になった後に役立ててくれると、とても嬉しいなと思います!!

医療・介護の有資格者

JRや小樽観光でのバリアフリー状況

  • そこそこ大きいバギーが車内にあると通路が塞がれてしまったり、エレベーターが無いと移動が大変であったりと、普段生活している中では気がつけなかった発見があった。しかし、駅員さんたちからの声掛けや援助は、医療的ケア児やその家族にとって非常に重要であることが分かった。
  • これまでは意識していなかったが、ホームからJRへのスロープの傾斜が急だと感じた。
  • 駅出口や店舗内スロープが設置されている所も多いが、バギーを押しての上り下りだと傾斜が比較的急に感じる箇所がほとんどだった。
  • 昼ご飯を食べたコンテナの場所や小樽運河付近などにスロープが付いており、観光地のバリアフリー化が進んできていることを実感した。またすれ違う人たちに関しても、嫌な顔をせずに避けてくれたりと、心のバリアフリーを肌で感じた。一方で、トイレなどまだまだ努力が足りずに、利用者が安心して利用できる状況になっていないため、利用者の声を聞き、改善していかなければいけないと感じた。
  • 普段何気無く利用してる石畳などがあんなに振動を与えるなど思ってもいなかったし、トイレの設備一つがあるかないかで、医療的ケア児の家族の利用しやすさなどが大きく変わることに驚きました。
  • 小樽駅のエスカレーターにバギーやベビーカー、車椅子の乗降車できる仕組みが備わっており便利だと感じた。観光地に限らず、あのようなフラットに乗降車できる仕組みが各駅のエスカレーターに備わっているものなのか疑問に感じた。 ただ、混雑時など他の利用者に待ってもらう点と駅係員の方が「お急ぎの方は階段をお使いください」とアナウンスしていた点からも、やはりエレベーターの設置はマストなのではと感じた。
  • 車椅子やバギーに乗った状態でJR(に限らず、地下鉄やバスも)の揺れは体感的にどのように感じるのだろうかと感じた。

「JRで小樽に行こう!」企画

  • 今回のイベントでは非常に貴重な体験ができ大満足です!病院にいる患者さんとはまた異なっており、家族の生の声を聞くことができたのは今後に活かせると考えております。
  • 今回のイベントを通じて、私自身と医療的ケア児者やご家族とのかかわり方を知ることよりも、医療的ケア児者とご家族のかかわり方を知る良いきっかけとなりました。 また医療的ケア児者とそのきょうだいとのかかわりも直接感じることができ、学びの多いイベントでした。
  • 外出先において、人手が必要な場面と、逆にご家族の方に任せた方が良い場面など、実際に同じ時間を過ごすことでしか知り得ないことも知ることができました。 今回の時間は日常のほんの、ほんの一部でしかなく、外出先に限らずさまざまな場面においてご家族の方は他者へ気を遣っていることと存じます。医療的ケア児者もまた、そのようなご家族の方の気持ちをきっとわかっているはず。
  • 駅構内や車内で医療的ケア児の側にいると、周りの乗客からの視線をどうしても感じてしまい、その視線が「心配」「物珍しさ」「迷惑」のどれかは分からないが、まだ医療的ケア児という存在が社会に浸透しきっていないのも事実であることに気が付きました。しかし、実際に接してみると、言葉は無いものの、笑顔や手などを使いコミュニケーションを取っており、「医療的ケア児」も「障害を持っていない子」も普通の子供であることが分かりました。この気付きは今後の私の私の看護人生において一番大切にするべき価値観であると考えています。

助成金

「ジョンソン・エンド・ジョンソン コミュニティ・ヘルスケア・プログラム」モデル助成の助成事業の一環として実施しております。
ありがとうございます。