「さぽんて」体験談:「自分の時間を持っていいんだ、と思えた」

難病の夫と在宅生活を送るOさんが、「さぽんて」を利用して感じた変化を、インタビューさせていただきました。

「リクさぽ(サポートをリクエストする人)」の体験談

Oさん自己紹介

Oさんは、大脳皮質基底核変性症という難病のご主人と在宅で生活しています。
ご主人は人工呼吸器を使用しており、現在は以下のような多くの在宅サービスを利用しています。

・訪問看護
・訪問介護
・訪問リハビリ
・訪問入浴
・鍼灸マッサージ
・訪問歯科
など

1日に3〜4件の訪問が入ることもあり、生活は介護中心。
人工呼吸器を使うようになってからは、大人の重度障害者が通える場所の少なさも感じているといいます。
2か月に1回の頻度で、ショートステイを利用しながら、在宅生活をされています。

「さぽんて」を知ったきっかけは?

「1年くらい前、言語聴覚士さんと『冬になると外出できなくなるよね』と話していたときでした。」
そのとき教えてもらったのが、雪まつりに外出したという記事
大通公園で、バギーや車椅子の前輪に補助具を履いて散歩している写真を見て、
「こんな活動をしている団体があるんだ!」
「どういうところなんだろう?」
と興味を持ち、調べていく中で「さぽんて」にたどり着きました。

訪問看護師さんに「使ってみようかな」と話すと、 「僕、関わっているんですよ」との返答があり、「早く教えてくださいよ!」って思いました(笑)

それまでワンオペ介護だったOさんにとって、
手を貸してくれる人がいる」という発想自体が衝撃だったといいます。

参考)https://aeria-hp.com/2024/02/10/yukimatsuri2024/

登録して、実際に利用するまで

※「さぽんて」は、医療・福祉・介護の有資格者と、サポートが必要な人が、つながり合い助け合うことのできる有償ボランティアのプラットフォームです。

「知ってから、登録はすぐしました。」
ただ、登録後すぐにリクエストを出したわけではありません。
「何を頼めるんだろう?」と考える時間が必要だったそうです。

登録したのは雪まつりの時期。 ご主人が気管切開をして間もない頃で、

  • 何ができるのか分からない
  • 外出のイメージがまだ持てない

そんな状況でした。
その後、訪問看護のスタッフの協力もあり「もっと出かけてみよう」と思えるようになり、初めてリクエストを出しました。
すると、「案外すぐにお返事があって、すごく安心しました。」と、思ったより早く挙手があったことを教えてくれました。
また、挙手してくれた方のうちのお一人は写真が得意で、「こんなお手伝いもできますよ」と提案してくれたそうです。
やり取りも、ケアがあるので常に対応はできないので、お互いの都合の良い時間帯にチャット連絡できる気軽さがありました。

利用準備を進める中で、人工呼吸器管理と吸引があるため医師の指示書が必要になるなどの手続きもあることを初めて知りました。
その際には、 SW(ソーシャルワーカー)や訪問看護師、「さぽんて」のスタッフさんが連携して進めてくれました。
※日本の法律上、医師の指示書がないと医療的ケアができないので、主治医に指示書を作成していただく必要があります。

サポート当日に困ったことは?

事前のやり取りで「これをしてほしい」としっかりリクエストできていたため、
当日はスムーズで初めて会った方だったのに、特に困ったことはなくすぐ外出できました。

利用して、どんな変化がありましたか?

一番大きかったのは、
自分の時間を持っていいんだ、と思えたこと」

介護中心の生活では、予定はすべて訪問サービスに合わせて決まります。
そんな中、どうしても行きたい説明会がありました。
それは、長年の夢だった富士登山の説明会
「あの説明会に行けなかったら、富士登山は叶わなかったと思います。」

そして、「さぽんて」を利用したことで、 「自分の自由時間の使い方」が大きく変わりました

公的サービスでは埋められない 
“本当はやりたいこと”という家族の想いを、叶えていいんだ
そう思えたことが大きな変化だったといいます。

また、「みんなでたのしむ音楽会」や「北大に行こう!」などのイベントにも参加し、お出かけも増えました
「これまでは、天気や体調がよければ行けたらいいなという状況でしたが、「さぽんて」を利用することで、決められた時間・場所に参加できるようになりました。初めて会う人と交流する機会も生まれ、社会としっかりつながっていると感じられたことが、とても大きかったです。」

「さぽんて」をまだ利用していない方へ

「さぽんて」を利用して感じたのは、子どもや利用者本人だけでなく、介護者の心もふっと軽くなる時間がありました。
いつもと違う場所、匂い、刺激。
それは、大切な経験であると同時に、介護者にとっても「日常から少し離れる」時間になります。
また、「心が解放されます。自分だけが大変なんじゃない。同じような状況の人がいると分かって、私自身も励まされました。」という言葉も印象的でした。
そして、お友達に「さぽんて」を紹介した際には、「小さい頃に知っていたら、連れて行ってあげられたのに…」という声も聞いたそうです。
年齢の低いお子さんが参加しやすいイベントが増えると、 もっと利用しやすくなるのでは、と感じています。
最初の一歩をどう踏み出すか戸惑われている方もOさんの体験談を聞いて試してみようかな?と思ってもらえると嬉しいです。

今後やりたいこと

Oさんの来年の目標は、キャンプ
「もともと主人が自然に触れるのが好きなので、デイキャンプから挑戦したいと考えています。」と楽しい目標を聞かせてくれました。

高橋からは、リクエスト依頼のコツとして以下をご紹介
・「人工呼吸器のケアは自分でできます。 ですが、アウトドアが不慣れなのでキャンプや移動のサポートをお願いしたい」という内容だとサポート側が集まりやすい
・「ご家族での参加もどうぞ、お子さんの参加もOK」と記載があると、家族がいる方もサポートしやすい

来年は、ぜひキャンプを実現させるために「さぽんて」で協力したいと思います!

さいごに

仕事を辞め、介護に専念する日々の中で、Oさんは「達成感が少しずつ削られていく感覚」を抱えていました。

介護する側は、知らず知らずのうちに閉じこもり、
「自分がやらなければ」「家族だから」「自分が産んだから」
そんなさまざまな想いを抱え込みながら、すべてを一人で背負ってしまいがちです。
そして、その我慢にさえ気づかないまま、日々を過ごしていることも少なくありません。

だからこそOさんは、
もっとオープンになることの大切さを伝えてくれました。
気持ちや状況を言葉にすることで、情報交換が生まれ、手を差し伸べてくれる人と出会える。
それは、ケアを続ける上での大きな支えになります。

「そういう場所に、あえりあがなってくれたら嬉しいです。」

誰かに頼ることは、弱さではなく、つながりをつくる一歩
Oさんの言葉は、同じように悩んでいる多くの家族にとって、 そっと背中を押してくれるメッセージでした。