「福祉の情報をもっとオープンに、そしてもっとワクワクするものにしたい」という想いから始まったアイデアピッチイベント「EXCITE」 。今年度からは装いを新たにリニューアルし、「福祉の未来をワクワクさせてくれるプレゼンター」が集う場として開催されました。最終審査を通過し、当日のステージに登壇した熱意あふれる4名のピッチ内容をレポートします。
登壇者
1. 西岡佳子さん(一般社団法人まちのいりぐち/北海道大学医学部5年)
外からひらく、フクシのいりぐち

テーマ:専門外から関わる、子供と社会をつなぐ新しい福祉の入り口
「専門外の私たちを少しだけ信じて、外とつながる新しい福祉を一緒にワクワクしてほしい」と語る西岡氏のメッセージは、福祉の枠組みを地域へ大きく広げる可能性を提示してくれました 。
2. 杉本よしみさん(株式会社DominoPlus.inc)
現場で活用したいAIパートナー

テーマ:記録を次の一手に変える、AIを活用した個別支援システム「Maa2」
「AIは単なる効率化のツールではなく、利用者一人ひとりをより深く理解し、一緒に人生を作るためのもの」と語り、日々の支援記録が作業になってしまっている感覚的な福祉を、共有可能な知識へと変革する未来を示してくれました 。
3. 渡部あずささん(Link&Life)
地域がまるごと家族になる。箱を持たないレスパイト・ホームステイ『お泊まりお助けファミリー』

テーマ:地域まるごと家族になる、箱を持たないホームステイ型レスパイト
「障害児を育てる家族も自分の人生を大切にしていい。北海道ならではの『なんもなんも(お互い様)』の精神で支え合う地域を皆で作ろう」と、実現に向け丁寧なリスク管理と設計を進めながら、温かく呼びかけました 。
4. 大平里香さん(株式会社ZINAZOL)
ダウン症の子どもの育児から生まれた逆転の発想の知育玩具

テーマ:遊びながら文字を学ぶ、最愛の息子のために開発した知育パズル『ジナゾル』
息子さんたちが将来働くことになる作業所へ仕事を届け、彼らの「賃金アップ」や社会貢献につなげていきたいという温かい展望を語り、親子の笑顔の時間を増やしたいという強い願いでピッチを締めくくりました。
5.山口春菜さん(小樽商科大学)
QOL向上、脳トレをラップ制作体験で!『ラップDE老GO!』
今回、残念ながら当日欠席となってしまったもう一人のプレゼンター。
ヘルスケア×エンターテインメントという新しい市場を切り開き、高齢者が自分の人生や思い出を話すだけでAIがラップ(歌詞)を生成し、音楽として残せるサービスを開発。超高齢社会における新しいウェルビーイングの形を提案してくれる予定でした。
既存の枠を超え、新しい組み合わせで福祉を「エキサイト」させる
4名のピッチが終了した後、来場者によるGoogleフォームを用いたリアルタイム投票が実施されました 。
アイデアの本質と情報の掛け合わせ
集計を待つ間、司会の伊藤氏は、名著『アイデアの作り方』の一節を引き合いに出しながら、本イベントの真の価値について次のように補足しました。
「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせでしかない」
一見すると、自分には直接関係がないように思えるジャンルの話であっても、その情報を知っておくことで、自分が今持っている知識や課題と掛け合わさり、全く新しい福祉の未来を切り拓くきっかけになります 。今回の「エキサイト」があえてジャンルを絞らず、大学生、IT/AI、医療/レスパイト、当事者によるプロダクト開発といった多種多様なプレゼンターを集めた理由は、まさにこの「新しい刺激と発想の糧」を会場全体に提供するためでした 。
審査結果発表:ベストプラクティス賞
厳正な集計の結果、僅差の戦いを制してウェルフェス2026「ベストプラクティス賞」に輝いたのは、株式会社ZINAZOLの大平里香氏でした 。

名古屋からこのピッチのために足を運んだという大平氏は、受賞の喜びと共に次のように語りました。 「北海道の福祉に対する熱量を肌で体感し、若い世代や多くの専門家がここまで尽力して新しいアイデアを生み出していることに、障害を持つ親の立場として感極まる思いです。全国の障害児のお母さんを代表して感謝を伝えたいです」 当事者家族として社会に頼るだけでなく、自らの得意分野を活かして社会に恩返しと貢献をしていく大平氏のバイタリティーと愛に、会場からは拍手が送られました 。
福祉の未来へ向けて
ピッチ終了後、登壇した4名が改めて「福祉の閉鎖的な空間を開き、異業種や地域の人々を巻き込んでいくこと」や、「医療職が病院の外でも暮らしを支える資格を活かせる地域社会づくり」への想いを語り合いました 。
今回の「EXCITE」は、ビジネスピッチの枠を超え、参加したすべての人にとって「福祉を知る」ことの大切さを再認識する場となりました 。 福祉を、誰にとっても身近で、お互いに「なんもなんも」と言い合える幸せな暮らしのベースにしていくために 。一人ひとりが福祉に対して興味を持ち、新しいアイデアを掛け合わせながら、福祉を前向きにワクワクする形で盛り上げていく大きな一歩となるイベントでした。

ウェルフェス2026
🗓 2026年5月24日(日)11:00〜17:00
📍 エア・ウォーターの森(札幌)
Instagram:@well_fes_
主催
- 一般社団法人fanfare
@fanfare.hokkaidou
https://www.fanfare-sapporo.com/ - NPO法人あえりあ
@saponte_aeria
https://aeria-hp.com/
お問い合わせ
- NPO法人あえりあ:contact@aeria-npo.org
- 一般社団法人fanfare:fanfare615@gmail.com
取材者
名久井里美(なくいさとみ):理学療法士兼キャリアコンサルタント・ライター
写真撮影
株式会社クリエイティブ・クリニック
