エスコンフィールドのスタジアムツアー!医療的ケア児のバギーでのバリアフリー状況

NPO法人あえりあと、北海道医療的ケア児者家族の会Team Dosancoのコラボ企画「エスコンに行こう!」は、2024年6月9日(日)に開催しました。

NPO法人あえりあは、北海道日本ハムファイターズの「スターティング・ナイン」という助成金に、“「さぽんて」を活用した医療的ケア児者や身体障害者の外出の機会の創出”という事業を採択していただきました。そして、B•Bが活動をインタビュー&1回だけ登場してくれるという特典があり、B•Bがスタジアムツアーに同行してくれることになりました!

NPO法人あえりあと、北海道医療的ケア児者家族の会Team Dosancoのコラボ企画では、

  1. 「支援する」「支援してもらう」ではなく、「一緒にあそぶ」ことで、医療職・福祉職・介護職と利用児者・家族という関係性ではなく、個人対個人での対等な交流を行う。
  2. 医療的ケア児者は、外出すること自体にハードルが高くなる場合も多いので、イベント化することで、外出の機会を創出する。
  3. 医療的ケア児者同士、家族同士、きょうだい同士の交流の場となる。
  4. 医療職・福祉職・介護職も、医療的ケア児者と関わったことがない人も多いので、知ってもらう機会となる。
  5. 医療職・福祉職・介護職も家族参加大歓迎としており、子どもたちにとっても、いろんな子・いろんな人がいること、工夫をしながら一緒にあそべることを体感する機会となる。
  6. 外出先のバリアフリー状況をレポート公開することで、「これなら行けそう」「行ってみたい」と次の外出の機会を創出する。

ということを目的として、年数回、不定期に開催しています。
2024.7.23  一緒にチームラボであそぼう
2023.9.24  一緒にAOAO SAPPROに行ってみよう

トイレ

まずは、おなじみのトイレ事情から。
なぜかというと、小学生以上の障害児者がおむつ交換をすることができるユニバーサルシートがないと、外出先として選択することが難しくなるのです。

ベビー用のおむつ交換台のある多目的トイレが増えてきましたが、このサイズでは、冒頭の集合写真に写っている大半の子は、使うことができません。

そして、

こちらは、オストメイト対応になっていますね。ストーマ(人工肛門や人工膀胱)を造設している方は、パックに溜まった排泄物を処理しやすいように、写真右側のような流し台があると便利なのです。

これくらいの広さがあると、バギーのまま入ることができるので、リクライニングを倒して尿取りパットの交換だけで済む場合は、妥協案として、こちらのトイレを利用できるかもしれません。

ユニバーサルシートのあるトイレはこちら。

キャスターが付いているタイプのユニバーサルシートが設置されているトイレもありました。
ユニバーサルシートを広げると、トイレ内のスペースはあまり広くないので、トイレの外にバギーを置き抱っこで中に入るか、目を離しても大丈夫な子であれば、バギーでトイレ内まで入ってユニバーサルシートに移乗してからバギーを外に出すという方法になりそうです。

両サイドが壁に接していないため、転落の危険があるのは懸念点です。
(片面が壁に接していれば、壁と自分で転落を防ぐことができます。写真のタイプだと、手前は自分でガードできますが、奥に動いていってしまった場合に、転落してしまう可能性が高くなります。)
エスコンフィールドOPEN時には、ユニバーサルシートが設置されておらず、障害児者や家族からの声で、あとから設置されたという情報もあり、当時「新しい施設なのに残念」という声をたくさん聞きました。

ユニバーサルシートのあるトイレは少ないので、余裕を持って移動する必要があります。
バリアフリー情報のページに、フロアマップ上にバリアフリートイレに印をつけてくれているものがあります。

また、試合のない日は、

このように、ユニバーサルシートのあるトイレは入れなくなっています。
1階のインフォメーションセンターに行って、入れるようにしてもらわなければいけないので、かなり不便でした。

また、今回のスタジアムツアーのスタッフさんが、「ユニバーサルシート」を知らなかったようなので、オストメイトやユニバーサルシートなど、多目的トイレと一言で言っても多様であることを周知していただけると嬉しいですね。

改善されることを願います。

そして、エスコンフィールドに限らず、「困ったなー」になりやすいトイレはこちら。
何に困るのか、わかりますか?

女性用トイレの中、または男性用トイレの中に、車椅子でも入れるトイレがある設計では、
・車椅子に乗っている女性を介助しているのは旦那さん
・車椅子に乗っている男性を介助しているのは女性ヘルパーさん
などのように、異性介助の場合に、女性トイレに男性が入らなければいけない、もしくは、男性トイレに女性が入らなければいけない、という状況が生まれてしまうのです。

多目的トイレは、存在していれば良いのではなく、使用する人にとって、使用できるものである必要があります。
設計をする方々にも、知っておいていただきたいですね。

ツアー前に散策

車いす駐車場

コカコーラゲート前の「C9」の駐車場は、坂道がなく入場することができます。

停められる台数も多いので、試合のない日は満車になることはほぼないと、事前情報収集の際にスタッフさんが話していました。
試合の日は、車いす席を購入した方が、車いす駐車券を購入することができるようになっています。

車いす駐車場は、なぜ広いスペースが必要なのかをご存知ですか?

車椅子から自力で運転席に乗り移って、車椅子を畳んで車に積む方は、運転席の横に、ドアを全開にできるスペースが必要です。

バギーを使っている子たちも、乗り降りに広いスペースが必要なのです。

キッズシートに乗っている場合

車では助手席に取り付けたオーダーメイドのシートに座り、車を降りる時にバギー(後部座席に積んできたバギー)に乗る子もいます。
乗り降りするために、横にスペースが必要です。

自家用車が福祉車両の場合

写真は、リフト型の福祉車両ですが、スロープ型の福祉車両の方も多いです。
バギーのまま乗り、バギーを固定します。
リフトやスロープのために、車の後ろにスペースが必要です。

いざ、エスコンフィールドへ!

エスコンフィールド内

スタジアムツアーの前に、散策したりおしゃべりしたりしたい方は、少し早めに集合しました。

観戦に来たことのある方は、車いす席の中でも、見やすい場所(バギーの子は、リクライニングを倒して上を向いている)や、涼しい場所(体温調節が難しく、熱がこもりやすい子は、夏の暑さは大敵)を教えてくれました。

広くて床も平らなので、移動はとてもしやすいです。

そして、エスコンフィールド2階の「七つ星横丁」へ。

お店の前は、並ぶ列をつくるためのロープがあり、バギーで出入りするのは狭くて大変ですが、店員さんが位置を調整してくれる場面もありました。

エレベーター

最近の新しい施設でありがちな「オシャレがゆえに、わかりにくい」ですが、エレベーター内は奥行きがあり、バギーも2〜3台(ベビーカーなら4台)乗れる広さがありました。

スタジアムツアーが始まるまで、少しの時間でしたが、各々楽しみました。

スタジアムツアー

集合場所で、B•Bがお出迎えしてくれました!
北海道日本ハムファイターズの「スターティング・ナイン」という助成金の特典を活用したため、通常のスタジアムツアーにはB•Bの参加はありません。

ファイターズガールの方から、ツアーの説明を聞いて、出発!

エレベーター

バギーや車椅子の台数が多いと、エレベーターを何度も往復させなければいけなくて時間がかかりそうだなと思っていたのですが、なんと!!!

こんなに大きな業務用エレベーターがありました!

ぞろぞろ。こんなに一度に乗っていたのです。笑

グラウンド

ファイターズガールに案内してもらいながら、グラウンドに到着。

「わぁー!!」
「すごーい!」
「ひろーい!」

そして、ベンチで写真撮影タイム。

天井やパネルの豆知識を聞いたり、芝生を眺めたり(芝生に入ったり触ったりしてはいけません)、写真撮影したり、手を繋いで歩いたり、時間いっぱいまで堪能しました。

地面は、バギー、車椅子、ベビーカーでも、さほど振動がなく進むことができます。

帰り道

来た道を戻りながら、大きな機械の解説を聞き、

二度目の巨大なエレベーターは、みなさん各々のバギーの大きさを見ながらきれいに乗車し、全員が乗れました。笑

名残惜しいけど、そろそろ終わりの時間です。

バリアフリーの状況はどうでしたか?

今回の散策&スタジアムツアーは、エスコンフィールドのバリアフリー状況の調査も兼ねていました。

 

今日の散策・スタジアムツアーでの感想・意見や、これまでに観戦に来たことのある方からのリアルな声を、お届けしました。
後日参加者アンケートも実施し、回答していただいた内容は、B•Bを通して北海道日本ハムファイターズにも声を届けてくれるそうです。

楽しい時間をありがとうございました!
当日の様子は、「The HOME〜B•Bみらい大志Diary〜」のブログ記事でも、素敵にレポートしてくださっています。

また、NPO法人あえりあの活動のインタビュー記事も、ぜひご覧ください。

参加者アンケート

バリアフリー状況:良かったこと

エレベーターが広い。
エスコンフィールド内は、スロープの角度が緩やかで歩きやすかった。
大きな施設だけあって屋内の道幅は広いし、段差も無かったのはとても良いと思いました。
エスコン内は坂道や段差が無くバギーが押しやすかったです。
割と車椅子でどこでも行きやすいので利用しやすい。飲食店も、意外と車椅子で行きやすい(みなさんが避けてくれる)ので楽しめると思います。

バリアフリー状況:不便だったこと

お店で買い物するときに、スペース的に、バギーに乗った子を連れていては会計ができない。
バギーの子も楽しめるような、ユニバーサルデザインの公園を参考にした、バリアフリー遊具などがあれば良いなと感じた。
店の前のロープの仕切りが狭すぎます。ポールの土台は、バギーのタイヤが踏んでしまい突然突っ掛かるのでびっくりする。食事をする所もバギーや車椅子でも使いやすいスペースが有れば嬉しい。
今回のツアースタッフでさえユニバーサルシートを知らずして、普通の車椅子専用トイレを案内しておりましたので、車椅子専用トイレの中身にも色々ある事(オストメイトがあるのか、ユニバーサルシートがあるのか)も、スタッフの方は知っていてほしい。車椅子にもリクライニングバギーの肢体不自由と言う障害もあることを周知して欲しいと思いました。

試合がない日のユニバーサルシートがあるトイレは、インフォメーションまで行ってスタッフにトイレを使いたい旨を伝えなければ、行けない場所に設置されていたので、1〜2カ所くらいいつでも解放されているユニバーサルシート付きトイレがなければ、試合以外のイベント日は行くのを躊躇してしまうかな…今日の参加者は小さめのリクライニングバギーが多かった印象ですが、もっと長さがあるバギーや、幅があるバギーもありますので、どんな人でも行きやすいエスコンになってくれたら嬉しいです!

試合日は入口付近に「なんでもお聞きください」と掲げているスタッフさんがいるので、「トイレはどこ?」「エレベーターは?」「ここに行きたいのだけれど。」と気軽に聞けたけれど、試合のない解放日はそういうスタッフさんが居ない為、どこで誰に聞いたらいいんだろうか?と思いました。特にユニバーサルトイレの利用はスタッフに声かけしてからの利用になるとの事だったので、バギーや車椅子を推してあちこちスタッフを探すのは大変かな?と思いました。
ユニバーサルシートが設置されたトイレはぜひ増やしてほしい。
お店の出入り口やレジ周辺が狭くてバギーは入りづらかったですが、お店の人が快く対応してくれたのでありがたかったです。
車椅子の観覧席にはつきやすそうでしたが、首が座っておらずバギーの角度を立てると首が落ちてしまい、目線を下に向けることが難しい障害児者もいます。座席の1番上だけでは無く、もう少しグラウンドに近い下の方にも専用席があれば、障害児者も選手やボールを見る事ができるのかなと思いました。
帰りは雨が降っていて、近めなC9駐車場でも雨風あったので車に向かうまでちょっと辛かったです。(バギーを押しながら傘をさすことはできないため、ずぶ濡れになります。)ホテルの車寄せのようなスペースか、駐車場までの屋根付の通路などがあると助かります。
女子トイレの中や、男子トイレの中に、車椅子トイレがあると、車椅子に乗っている人と付き添いの人が異性だった場合、男女どちらのトイレに入って良いのか困る。
バギーのまま乗れるようなインクルーシブな遊具があると、一緒に遊べるのになと思いました。

感想

とにかく、バックヤードに感動!BBがずっと一緒に付き添いしてくれて写真撮影も思う存分できました。
初のお出かけで、少し天候も悪く、やはりハードルが高かったかなぁと不安と心配でいっぱいでしたが参加してよかったです。きっと自分達家族だけではわざわざ行こう!!とは思わなかったと思うので、良い機会でした。今日はサポートメンバーさんにお手伝いをお願いすることはなかったですが、夫の参加がなく、1人参加だったら手を借りれるのはとても助かると思います。
中高校生も大人料金で高いと思ったが、BBの対応もよかったので、良い思い出になり、参加できて良かったと思いました。
あえりあさん企画で、マスコットキャラクターがツアーの最初から最後まで一緒について歩いてくれて、とても特別感があり子供達も大満足でした。
サイン付きカードの手渡しもありがとうございました!
また楽しい企画を待っています!
ケア児、きょうだい児、両親みんなが笑顔で楽しく遊べたのが良かったなと思います!
ツアーのように時間で動かなければならないイベントは、痰吸引が多い我が家にとっては少しハードルが高いのかもと感じましたが、慌てなくていいですよとツアースタッフさんが声かけてくれ待っていただけて、とてもありがたかったです。
外出自体ハードルが高く家に篭りがちですが、助けてくれる人がいると思うと安心して参加することができました。久しぶりに楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
家族みんなで楽しめました。B.Bくんが同行してくれ、楽しさも倍増しました。
野球観戦となると、人も多くて近寄りがたいですが、試合がない日だったのでゆったりと探索することができ、夜ご飯も食べられて大満足でした。

Special Thanks

北海道日本ハムファイターズ様

スターティング・ナイン」に採択していただき、そして、スタジアムツアーへのB•B同行を実現させてくださり、ありがとうございました。

写真撮影

Gutto Media様
https://www.tsukam.com/blank-2
素敵な写真をたくさん撮ってくださり、ありがとうございました。