NPO法人あえりあの代表理事 高橋亜由美(看護師)は、重症心身障害児(医療的ケア児)とその母親のUSJ旅行に有償ボランティアで同行してきました。
現在、NPO法人あえりあとしては、旅行の支援を行っておりませんが、バギーでUSJを楽しむための情報が少なかったため、体験したことを記録します。
「行けるかも」「行ってみたい」「やってみたい」につながると嬉しいです。
中途障害の中学生の男の子。遷延性意識障害。
身長 約150cm
体重 40kg弱
医療的ケアは、気管切開(夜間のみ人工呼吸器)、吸引、カフアシスト、吸入、胃瘻。
日常生活では状態が安定しており、特別支援学校やデイサービスに通っている。
「医療的ケアがあっても旅行に行ける、自分たちも行きたい、と思ってくれる人がいてくれたら嬉しい」と、SNS、WEBサイト、zoom報告会への写真の使用と情報提供にもご協力いただきました。
飛行機
医療機器の持ち込み、機内用の車椅子への乗り換え、機内で座席に座る工夫などは、沖縄旅行の報告記事をご覧ください。
大阪国際空港(伊丹空港)
2020年に改装されているので、とても綺麗です。
多目的トイレには、大きなおむつ変え台がありました。
伊丹空港から予約していた介護タクシーに乗る際、歩道橋で大阪空港駅側に渡り、送迎スペースにおりる必要があります。
空港側には、降車場所しかないそうです。
ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)
ユニバーサルスタジオジャパンの公式サイトには、「車イス、電動車イスをご利用の方へ」のページがあります。
https://www.usj.co.jp/web/ja/jp/service-guide/barrier-free/information#wheelchair
ただ、このページには「車椅子」「電動車椅子」については書かれていますが、重症心身障害児が使用するようなバギーについては書かれていません。
S君のバギーは大きいので、事前情報を集めることがとても困難でした。
※記事への写真の使用は、公式ページより問い合わせ、収益化されていないページであればOKとの返答をいただきました。
SNSを活用して事前の情報収集
アトラクション
- バギーのまま乗れるアトラクションは、ほぼない。ショー系のみ。
- バギーから降りて抱っこで乗ることができるアトラクションも、ほぼない。座位保持ができないと難しい。
- 「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の「ヨッシー・アドベンチャー」は、ヨッシーの卵の乗り物であれば、車椅子やバギーのまま乗ることができる(大きさの制限はわからない)。
- 「スーパー・ニンテンドー・ワールド」や「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」は、バギーで進むのが難しいくらい混み合っている。
- 「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」は、地面がガタガタで振動がすごい。
ペースト食
- ペースト食を出してもらえるお店は3店舗(ハピネス・カフェ、ディスカバリー・レストラン、ロストワールド・レストラン)
実際に行ってみた様子
パーク内
写真のように、バギーではガタガタする道も多いです。
写真右側のような部分もあるので、なるべく振動の少なそうなところを選んでバギーを押しました。
ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター
ハリーポッターの世界が広がっていて、アトラクションに乗ることができなくても楽しむことができます。
地面は平坦ではないのでガタガタしますが、写真右側の部分は振動が多いので、写真左側のように比較的平坦な部分を選んで進むと、さほど気にならない程度でした。
スーパー・ニンテンドー・ワールド
「ヨッシー・アドベンチャー」のヨッシーの卵は、車椅子やバギー(サイズの制限あり)のまま乗ることができます。
アトラクションの入り口で、バギーや車椅子のまま乗ることができるかキャストの方と一緒に検討しました。
ヨッシーの卵(付き添い1名が一緒に乗れる)は、後面がスロープ型の福祉車両のようになります。
ヨッシーの卵の内部が広くはないので、車椅子やバギーのまま乗るためには、規定のサイズ内でなければいけません。
S君のバギーは、大きすぎてそのまま乗ることはできませんでした。
一般的な車椅子に乗り換えることができれば可能とのことで、どうしても乗りたいという本人と母の希望により、車椅子に移乗して、座っていない首は母が常時支え続けるという方法を取りました。
S君は座位保持ができませんが、車椅子のサイズに対して身体がやや小さいくらいの体格なので、プレーリー装着、貸し出しのベルト、バギーの腕用枕で体幹と腕を支えることができます。
お土産やさんなどは、店員さんがとても親切で、話しかけてくれたり写真を撮ってくれたりしました。
立体構造になっていますが、エレベーターも数カ所あり、移動手段には困りませんが、人がかなり混み合っていて、エレベーター前の日陰には座って休憩している人も多くいます。
「すみません、通ります」と声をかけても、足を引っ込めてくれない子やそれを注意しない親など、残念だなと思うことはありました。
ジョーズ
公式サイトで、車椅子・電動車椅子で乗れるアトラクションに載っていますが、かなり条件がありました。
- トラブルで1時間ほど水上で待機することもあるので、それに耐えられること。
- 車椅子やバギーの後輪を、ぴったり乗り物に付けなければいけないので、ストッパーや荷物台などが後輪よりも後ろにあると、乗れない。
- USJの車椅子に乗り換えることもできるが、首を支えられる距離に付き添い者が座ることはできないので、介助なしで座位保持できない場合は乗れない。
トイレ
多目的トイレがある場所は限られていますが、おむつ変え台のあるトイレもありました。
身長約150cmで、これくら足が飛び出ます。
オムツなどを入れている荷物を置く台などはなく、やや窮屈でした。
トイレ内は広くないので、トイレの外にバギーを置き、看護師と母の2人で抱っこしてトイレ内に移動しました。
ペースト食
事前に、日時を伝えておくと、注文時にスムーズに受け取ることができます。
しっかりミキサーにかけてもらったので、胃瘻の注入に問題ない形状でした。
水分の注入などは、日陰やベンチを見つけて、注入しました。
手作りうちわ
支援学校の先生と一緒に作ったうちわは、キャストの方々がリアクションをくれたり、「涙が出そうになりました」と感動してくれたりしました。
USJ旅行に同行してみて
事前にSNSで情報を得ていた通り、バギーのままで利用できるアトラクションはほぼありませんでいたが、アトラクションに乗れなくても楽しめることも多くありました。
沖縄旅行に同行した際にも感じましたが、公式サイトには、車椅子での利用に関する記載があっても、車椅子より大きなバギーでの利用や、体が大きな子や成人向けのオムツ替え台の有無などの情報がなく、情報収集の段階で壁があります。
USJの場合は、アトラクションの乗り物に乗ることができるかを検討する場合、乗り物の座面や安全バーの形状が公式サイトには載っていないので、検討のしようもないのです。
もう少し、車椅子やバギーで利用したい方向けの情報も充実させてもらえると嬉しいですね。