厳冬期の避難所体験会に参加

防災したっけ様にお声がけいただき、寒い中での避難所体験会であるため、体調不良者に備え、看護師の有償ボランティアとして参加してまいりました。

参加した看護師によるレポートです。

元町連合町内会が主催し、元町まちづくりセンター、東区役所防災担当者、東区消防団や地域住民などが参加していました。

厳冬期の避難所体験会の目的

真冬に大きな地震が発生した場合、身の回りの安全確保のみならず、寒さからも身を守ることが必要です。

  • 寒さや防寒具を体験することで、避難者として寒さから自分を守るために、どれくらいの準備が必要であるかわかる。
  • 避難所運営者として、高齢者や乳幼児など、配慮が必要な必要な人に、どう対応すると良いか見通しを立てる。

避難所体験会

講話「熱の伝わり方を知って、寒さから身を守ろう」

非常食の試食

水を入れて1時間待つと、お湯がなくてもご飯を食べることができるアルファ米。冷たいですが、塩気のあるわかめご飯は、美味しく食べられました。

非常食は淡白な味のイメージを持たれがちですが、いろんな非常食があります。

湯煎で簡単に作れるおやつの実演もありました。

ホットケーキミックス200gとコーンスープを作るためのペースト200ml(あれば油を少々)を、ポリ袋に入れ、袋を揉んで混ぜ合わせます。
そのポリ袋の端を切り、新しいポリ袋に小分けにし、小分けにしたポリ袋の口を縛って湯煎にすると、10〜15分で蒸しパンができました!

コーンスープのペーストの代わりに、甘酒、おしるこなど、甘みがあってとろみのあるものを約200mlを使っても、美味しくできるそうです。

寒さ体験

外気は氷点下。体育館の中の気温は5℃。

ブルーシートは床とほぼ同じ冷たさ、マットや段ボールは「ないよりはいいかな」という程度。
アルミシートに包まると、やや暖かさを感じます。アルミシートは、自分自身の熱を外に逃さないためのものです。暖かさを感じるまでに時間を要するため、せっかく暖かくなった空気を逃したくないために、水分摂取を控えてトイレへ立つ頻度を少なくしたくなる気持ちがわかりました。

段ボールベッドは、冷えきった床と接しなくなり、接地面から体が冷える感覚は軽減されました。

キャンプ用のベッドは、ベッドと床の間を冷たい空気が通り抜けるため、段ボールベッドよりも冷えます。

発泡ポリプロピレン製の「床にポンは、段ボールベッドやキャンプ用ベッドよりも、安定性もあり冷えにくい感覚でした。
また、水拭きや消毒薬で拭くこともできるため、再利用可能です。

電気毛布を入れた寝袋は、やはり暖かい。
テントの中に暖房器具は、言わずもがな暖かい。

このように、冷えきった体育館に避難した場合を想定して、どのような備えがあると暖をとることができるかを体験しました。

体験して感じたこと

各自での備えが大前提

避難所となる小学校には、限られたスペースに収納できる最低限の量が備蓄されており、それ以上を求めることは難しいということもわかりました。
各自が自宅に備えているものを持参しつつ、足りないものは避難所の備蓄にも頼るはずが、私を含めて、多くの人が、避難所の備蓄をあてにしすぎているということに、気が付きました。

避難所の備蓄は、“自宅から持参する間もなく避難してきた方のための物”や、“外部からの支援物資が届くまでのつなぎ”くらいに捉えて、各自で備蓄して持参する必要があるということを、実感します。

各自での「自助」と、地方自治体や国による「公助」、そしてみんなで助け合う「共助」。
どれも欠けてはいけないと感じました。

高齢者や障害者が過ごすには過酷な環境

一次避難所となる小学校の体育館は、床がとても冷たく、天井が高くて温まりにくい空間です。
床や段ボールベッド等に寝袋や毛布で過ごすと、寒さでの体調不良、トイレに行くことを我慢しての脱水、高齢者や身体障害者は容易に褥瘡が発生することも懸念されます。

福祉避難所は、「二次避難所」の位置付けになっており、一次避難所に避難した人の中で配慮が必要な方は二次避難所へ行ける仕組みになっているのです。
そのため、自宅で生活している身体障害者や要介護者は、「一次避難所では過ごすことができないので、自宅にいる」という選択をせざるを得ず、二次避難所を利用する対象になれないということも、ここ数年で問題視されています。
また、発達障害や知的障害のある方やそのご家族は、「見知らぬ場所では過ごせない」「周りに迷惑をかけてしまう」と、一次避難所には避難できないとの声も多数聞かれます。

今回の避難所体験をもって、二次避難所としての位置付けではない福祉避難所が必要であると、強く感じました。

医療・福祉・介護に携わる仕事をしている方へ

特に、在宅分野や退院支援の医療職・福祉職・介護職の方は、地域で開催されている避難所体験や防災訓練などに参加してみてください。
住んでいる地域や、仕事で管轄している地域が被災した場合、担当している利用者さんや患者さんは、災害発生直後〜数日間を、ご自身や身近な方で安全を確保して過ごすことができるか、それが困難である場合どのような対策が必要であるかを、具体的に考えるきっかけになります。

テレビ放送

●UHB北海道文化放送株式会社   みんテレ
●HTB北海道テレビ放送株式会社  イチオシ!!

防災したっけ

防災啓発者の支援をすることで、防災を学びたい人の問題を解決し北海道全体の防災を盛り上げていくための活動している市民団体です。
ゲームで防災体験「防災クエスト」、防災講座、障害者とそのご家族や支援者が防災を学ぶ「まもりタイズ」、オンライン相談など、防災に関する活動を行っています。
災害への備えとして、自宅や勤務先等での具体策の相談や、勉強会の開催など、ぜひ、相談してみてください。